「ベストくすり」:シンガポールのインターネット会社につながる日本の不正オンライン薬局

日本は、アメリカやヨーロッパと同様に、無規制処方箋医薬品を市場に提供する業者にとって、格好のターゲットとなっています。日本の医薬品市場はアメリカに続き、世界で二番目の規模です。数週間前、レジットスクリプトは、日本をターゲットとする不正オンラインインターネット薬局の中で最大規模であるbestkusuri.comを閉鎖しました。ベストくすりネットワークのウェブサイトは、 処方せんなしで処方せん薬を販売し、日本における未承認薬(日本政府により安全性や信頼性が管理されていない医療品)を販売し、また、有効な薬局許可証を持たずに運営しています。日本への処方せん薬の輸入は 一定の必要条件を満たした、かなり限られた範囲でのみでしか認められていませんが、ベストくすりのネットワーク中のウェブサイトはこの条件や他の安全条件を守っていません。従って、レジットスクリプトはベストくすりネットワークのウェブサイトを「不正」であり、日本の医薬品についての安全条件や、日本国民の健康や安全を守るための薬局基準に従っていないものと判断しました。

bestkusuri.comが閉鎖されたことにより、ベストくすりネットワークのウェブサイトは即座にbestkusuri.netにつながるようになりました。私たちはbestkusuri.netのウェブサイトも閉鎖しました。すると、ベストくすりネットワークはJoker.comと提携して、bestkenko.comkusuriexpress.netとして登録しました。Joker.comは不正薬局をホストする悪名高いレジストラです。(詳しくは、どのように犯罪組織が「安全な」ドメイン名登録業者を見つけるのかというレポートをご参照ください。)ここでは、不正インターネット薬局の活動をかくまい続けるJoker.comに警告する事に加え、 ベストくすりのようなオンライン薬局が誰によって、どのように運営されているかを明らかにしようと思います。特に、ウェブサイト運営に携わるシンガポールを拠点にするOneNRGのMark RadfordHeinz Marc Vargas、そして、同じようにシンガポールを拠点とするPageriseのCollin Xu of Pagerise(どちらの人物も薬剤師の資格を保持している様子や医療トレーニングを受けていないと思われます)、また、医薬品をインドから日本へ発送しているサプライヤーであるSavaGroup(サバグループ)に焦点を当てます。

OneNRG Pte Ltd.とは

レジットスクリプトがbestkusuri.combestkusuri.netを閉鎖した後、 ベストくすりは2012年10月3日に代わりのウェブサイトwebsitesbestkenko.com とkusurirexpress.net を登録しました。最初、kusuriexpress.net は、日本人にありがちで特定されにくい名前の「Yuko Tanaka」という名前で登録され、住所は 英領ヴァージン諸島となっていました。このような 国外住所を使用するというのは、不正インターネット薬局ネットワークによって利用される一般的な方法で、身元を隠し、海外に資金を移動させるために利用する手段です。次のように、ドメイン名を登録するために使われているメールアドレスは[email protected]で、 bestkusuri.netが使用していたのと同じ連絡先情報とメールアドレスですが、電話番号だけがシンガポールのものとなっています。

所有者:Yuko Tanaka
組織名:Bushido Enterprises LTD
email: [email protected]
住所:PO Box 957
Offshore Incorporations Centre, Road Town
Tortola
郵便番号:957
国名:英領ヴァージン諸島 (VG)
電話番号: +65.99838913

bushido-enterprises.com の正体は何なのか、ベストクスリというインターネット薬局のネットワークとどう関連しているのでしょうか。

allaboutpill.combiyou-kurasi.com(どちらもレジットスクリプトが閉鎖しました)のようなベストクスリのネットワーク中の不正薬局ウェブサイトがこのメールアドレスで登録されています。ただし、“Yuko Tanaka,” ではなく“Mark Radford.”で登録されているのです。 (“Yuko Tanaka”というのは偽名であると思われます。)最近登録されたallaboutpill.comのドメイン情報をみてみると、同じネットワークに属するという事が分かります。

登録者:
Bushido Enterprises
Mark Radford ([email protected])
P.O Box 957
Offshore Incorporations center
Road town
Tortola
Other,NA
VG
Tel. +65.99838913

ラッドフォード氏は LinkedIn profilemarketing pagesのような情報から、OneNrg Pte Ltd. いう日本のオンラインマーケティングを専門とする シンガポールの会社の取締役として、実在する人物であることが確認できます。彼はシンガポールの会社DialUsNowとも関係があります。レジットスクリプトはラッドフォード氏にeメールを送り、電話でもメッセージを残し、意見を求めようと試みましたが、まだ返事はありません。

数日前まで、 onenrg.com という OneNRG のウェブサイトはオンラインで営業を行っていましたが、 レジットスクリプトがベストくすり関係者に接触を試みた後、そのウェブサイトは闇に葬られました。

Pagerise Pte Ltd.の紹介

もう一つのシンガポールの会社でOneNRG と BestKusuriのネットワークの両方と繋がりがあるのがPagerise Pty Ltdです。Pagerise Pte Ltdのウェブサイト pagerise.comは、名前から一見して何をしている会社なのか分かりませんが、実際のところ、OneNRGのように日本のウェブサイトのプロモーションを専門とするウェブマーケティング会社です。レジットスクリプトはその2つの会社が同じ人物によって所有されているかは確証できませんが、少なくとも一人の従業員はどちらの会社にも所属しています。(シンガポールの Amy Lee は両方の会社の人事マネージャーであると述べています。)次に説明しますが、Pageriseは bestkusuri.comやその他インターネット薬局のネットワークにおける登録や宣伝に関わっていると実証できます。

bestkusuri.comやその他のインターネット薬局のネットワーク上のウェブサイトを閉鎖した際、Pageriseの2人、Collin XuとHeinz Marc Vargasがドメイン名を復活させるよう要請してきました。そのやり取りの中で、Xu氏とVargas氏 はbestkusuri.comkusuriexpress.com のことを「私たちのドメイン」と述べた上で、「私たちにとって非常に重要なウェブサイトである」と述べました。その言葉は、常識的に考えて、彼らが bestkusuri.comを所有している、または多少の支配力を持っているという意味に取れるでしょう。そして、レジットスクリプトが Vargas氏に電話で連絡を取った際には、Vargas氏は彼の会社と BestKusuriは関係がある事を認めました。

Pagerise とのこれらのやりとりの後、レジットスクリプトはシンガポールの法律事務所から手紙を受け取ったことに注目していただきたいと思います。手紙には、「 Pagerise Pte Ltdはオンラインでの医薬品の不法な販売には関与しておらず、そのような疑惑のある販売からの収益は一切受けていない」とありました。これは不正薬局との関係の否定と取れます。 Pageriseが、ベストくすりの運営にどのくらい関与しているのか(例えば、彼らが経営者なのか、代表者なのか、あるいは協力者なのか)は不明確ですが、上述のような Vargas氏やXu氏の役割や告白から、Pagerise が bestkusuri.comや同じようなウェブサイトの運営に関与していると結論づけるのが自然でしょう。

インターネット薬局が通常どのように運営されているのか理解することが重要です。一般的に「インターネット薬局」と呼ばれるのは、当然のことながら、処方せん薬を販売したり、販売を促進したりするウェブサイトのことです。インターネット薬局(そしてインターネット薬局ネットワーク)は、ウェブサイトの運営を行う人と、医薬品を供給する人の両方が必要となります。そして、その両者が同じ人物であることはまれです。bestkusuri.comは他の多くのオンライン薬局のように、ウェブサイトのプロモーションやメンテナンスを行う人物なしで成立することはありません。このことから、Pagerise や OneNRG がインターネット薬局のウェブサイトのプロモーションを行なっている事は、オンライン薬局の運営に際して、補助的な役割ではなく、中心的な役割を果たしているのです。

SavaGroupとは

上にも述べたように、主力のインターネット薬局bestkusuri.com、それに続いてbestkusuri.netがオフラインになってから、replacement ウェブサイトbestkenko.comkusuriexpress.net (この他にもあるでしょう)が登録されました。

ドメイン名kusuriexpress.netが登録されてから11日間以内(Vargas氏との電話のほぼ直後)にkusuriexpress.netのドメイン名登録情報が修正され、メールアドレスの[email protected] emailが削除されました。 それに代わって、以下のように、Anagha Pharmaという会社名とインドの個人名Deepak Shindeが掲載されました。 また、Pagerise は私たちとの連絡を取った際に、私たちにShinde氏を紹介しました。

所有者: Deepak Shinde
団体名: Anagha Pharma Pvt. Ltd.
eメール: [email protected]
住所: 1st Floor, Old property No 1524
Wagholi, Tal – Haveli PUNE
Wagholi
Maharashtra
郵便番号:412207
国名:IN
電話番号: +91.9764440894

個人の身元を隠すために、ドメイン名登録情報の修正をすることは、不正オンライン薬局運営者によってよく使われる戦法です。特に、不正オンライン薬局の背後の人物についていくらか暴かれた後にありがちな事です。しかし、今回のケースでは、登録情報が書き換えられた事で、ベストくすりに関して、「薬の供給源」という重要な情報が提供される結果となりました。

Anagha Pharma Pvt. Ltd. はインドを本拠地とする薬の卸売業者SavaPharm Groupの一部です。彼らは自らを『カナダの薬局』と偽証してアメリカをターゲットにする不正インターネット薬局や、国際的な規模で展開する多くの不正薬局へ薬を配給しています。SavaPharm グループはいくつかの別名を持っています。Anagha Pharma, SavaMedica, SavaGlobal, Sava Trading Group, Sava Trading FEZ and Anagha Intertrade Service Pvt. Ltd. (Intertrade Service)です。
我が社の調査で、 SavaPharm Group(サバグループ) は不正オンライン薬局界において大規模な配給業者であるという事が分かりました。このサバグループは BestKusuriに薬を卸しています。SavaPharm Groupは、ペットや人間への偽造医薬品を、東ヨーロッパの不正オンライン薬局や偽カナダオンライン薬局ネットワークへ供給しています。また、偽造薬品業と関連していることがメディアレポートによって確認されているcanadadrugs.com というインターネット薬局にも薬を卸しています。SavaPharm Groupの重要人物のうち、レジットスクリプトは Vinod Jadhavを無規制の薬品供給チェーン市場における主要人物だと見ています。彼は、多様な違法オンライン薬局ネットワークに薬を卸すサバグループの管理者です。(注意:canadadrugs.com は複数の供給先を持っているようで、サバグループ が偽造薬品の提供源であったかどうかは明らかではありません。しかし、免許を持った日本の薬品配給会社のように信頼性と安全性おいて規制が行われていない、という事は確かです。)

サバグループ は不正な医薬品の供給に深く関わっているので、サバグループについて詳しく述べると、それだけで複数のブログ記事を書かなければいけないほど長くなるのですが、ここではベストくすりについて解説する事を目的として、簡潔に説明します。

第一に、 サバグループ から医薬品を大口で売る卸業者の日本語ウェブサイトnzsava.com の存在などから、 サバグループ は日本市場に焦点を当ててきている、という兆候が見られます。ベストくすりは主要な取引先でしょうが、その他にもあるかもしれません。

第二に、canadadrugs.comが、偽造Avastinの販売に関係しているという最近の記事をご覧下さい 。偽造薬品の販売が明るみに出てきた時期に、canadadrugs.comはAnam Pharmacy(当時は 以下のようにLinkedIn上でSavaGroup Pharmacy の別名だと表記)から医薬品の一部を卸していると認めました。

Anam Pharmacy SavaGroup

Anam Pharmacyはその後 canadadrugs.comに卸しているという情報を抹消しようとし、 前述のAnam Pharmacy のLinkedInプロフィールは削除されました。また、他に間接的な繋がりを示すものとして、 SavaGlobalは David Janesonを雇用しています。Janeson氏は以前に不認可インターネット薬局、jandrugs.comを運営していました。(カナダの薬局として宣伝していましたが、実際には薬はシンガポールなどから供給されていました。)このウェブサイトは現在大きなcanadadrugs.comウェブサイトのネットワークの一部で、同じカナダの住所を使用しています。

SavaGlobal/Anam Pharmacyの薬品供給に関しての疑惑は、人間だけでなく、ペットにまで及びます。2011年9月、大手の製薬会社Bayerによる偽造医薬品と商標侵害申し立て に際して、不正ネットワークのArchipelago Suppliers(freedom-pharmacy.com等を含む)と Anam Pharmacyを関連が分かりました。これは処方せん動物用医薬品のテスト購買に基づいて証明され、この薬の卸元についての疑惑が一層強くなりました。これらの様々な要因、また、日本の医薬品安全基準を満たしておらず、合法的な薬局運営もされていない事から、ベストくすりのネットワークは安全性において、信用できないと言えます。

結論

正当であれ不正であれ、インターネット薬局は最低でも、ウェブサイトと医薬品の供給元を必要とします。レジットスクリプトの経験上、不正インターネット薬局の運営は通常二股に分かれています。ほとんどの場合、医薬品の供給者はウェブサイトの促進には直接関わることはなく、ウェブサイト運営者は実際に医薬品を扱うことはありません。従って、ウェブサイト運営者は医薬品供給元を非難し、逆に、医薬品供給元はウェブサイト運営者を非難する、という事が可能となります。しかしながら、実際には、不正インターネット薬局の運営には両者の協力が必要となります。

新しく kusuriexpress.netbestkenko.com 、その他のウェブサイトとともに再構築されたベストくすりネットワークは、OneNRG や Pageriseといった「ウェブサイトを管理する者」と、Vinod Jadhav が主導し、Deepak Shindeなどが協力するサバグループといった「薬を提供する者」とのコラボレーションの結果だと言えるでしょう。Pagerise、OneNRG や またはその他の会社の境界線ははっきりしませんが、いくらかの役割を担っているということは明白です。インターネット薬局は典型的に多様な団体とのコラボレーションの結果です。このケースでは、 Mark RadfordとつながっているOneNRGとPageriseとの関係から、彼らがウェブサイトのプロモーションを担当し、インドの SavaGlobalが無規制の医薬品の卸しを担当しています。

また、レジストラが不正インターネット薬局ネットワークに対して果たす役割は、 直接的ではありませんが、非常に重要なものです。レジストラはbestkusuri.combestkusuri.net.を閉鎖し、ドメイン名を使用できなくしました。それに対して、不正インターネット薬局ネットワークは、違法な行為を滞りなく行うため、Joker.comのような 安全なプラットフォームを探すのです。

プロによって作られた、見た目のよい日本語のウェブサイトの裏側で、実際に行われているのは、「日本の医薬品安全基準に従っていない」「薬局免許なしでの営業」「医薬品の個人輸入という厳密に制限された規則に従っていない」「未承認医薬品の広告」「処方せんを求めずに、処方せん医薬品を販売する」という事なのです。日本の医薬品安全基準は、人々の健康と安全を守るために制定されたものです。ベストくすりが、規定を無視し、このまま営業を続ける事は、人々を危険に陥れているという事です。我々はPagerise と OneNRGに対して、自主的にウェブサイトを閉鎖し、ウェブサイトの登録をやめるように要請します。また、それと同時に Joker.comに対して、 他のレジストラがベストくすりのドメインを停止したのと同じように 、 bestkenko.comのドメイン名を停止し、不正オンライン薬局に悪用されないよう改善する事を要請します。