ベストケンコー 第一章 – 日本最大の医薬品販売サイトは違法?

もしあなたが、世界の医薬品市場で第2位の規模である日本で処方箋薬をオンラインで買うとしたら、 bestkenko.com のようなウェブサイトに出会うでしょう。流暢な日本語で書かれたこの「ベストケンコー」のウェブサイトは、「はじめて訪れるお客様」に、このウェブサイトは完全に合法であるとうたい、日本人に馴染み深い薬のパッケージを表示しています。ウェブサイトで販売されている医薬品はアメリカの米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)から安全性についての承認を受けたものだと広告され、価格は日本円で表示されています。bestkenko.com で薬を購入したという、日本の顧客の体験談も数多く掲載されています。日本にいるネットユーザーにとって、 bestkenko.com は処方箋薬をオーダーする上で、合法で、安全で、便利なウェブサイトに見えることでしょう。

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しかし、問題は、日本では、ごく限られた場合の例外を除き、処方箋医薬品のインターネット販売は違法、ということです。bestkenko.com で販売されている医薬品の大部分は日本、または世界中のほとんどの国で承認を受けているものではありません。ウェブサイトの管理者は日本の法管轄外にいて、薬の供給元も不透明です。ベストケンコーは800以上のウェブサイトを運営する大きな不正組織です。ベストケンコーのウェブサイトは日本のIPアドレスから接続された場合にのみコンテンツが表示されるようにできており、日本の外から接続された場合には「メンテナンス中」のメッセージが表示されます。

レジットスクリプトはこれから5回にわたり、「ベストケンコー」というネットワークの解明にのぞむブログを公開します。今回の記事は、そのシリーズの第1回目となります。この5回のブログシリーズでは、過去数年間の調査によってレジットスクリプトが特定したベストケンコーについての情報を公開します。ドメイン名登録の記録、パナマ文書を含む各国の企業登録のデータなどについて検証し、誰がこのネットワークの裏に存在し、どのように運営され、日本を狙った最大規模のオンライン薬局となったのか、という背景について記します。このベストケンコーの組織は、違法行為に目をつむるドメイン名レジストラによって支えられています。販売されている薬は法規制の枠から離れた供給元から卸されています。アメリカをターゲットにする不正薬局は、実際にはインドや中国から薬を供給しますが、よく「カナダの薬局」と偽り顧客を集めます。そのような「偽のカナダ薬局」に薬を供給していることが確認された同じインドの配給元から、ベストケンコーは医薬品を卸していることが確認されています。

それでは、ベストケンコーがなぜ違法なのかを見てみましょう。

第一に、日本において、インターネット上で処方箋医薬品の販売をすることは認められていません。営業許可を受けた日本の薬局でも、処方箋医薬品をオンラインで販売することや、未承認医薬品を広告することは禁止されています。しかし、ごく一部の場合に適応される例外があり、日本では処方箋医薬品の個人輸入が認められています。この例外については、厚生労働省のウェブサイトを参照下さい → mhlw.go.jp/kinkyu/diet/tuuchi/0828-4.html. ベストケンコーは、この「個人輸入」という規定を「抜け穴」として利用し、消費者にこのウェブサイトが合法で、法律に準拠したものだという印象を与えます。しかし、検証をすると、ベストケンコーの運営は、許可された「個人輸入」の規則に全く従っていないことが分かります。

日本の法律において、「個人輸入」はごく限られた場合にのみ可能であり、ウェブサイト上では一切の広告が禁止されています。未承認医薬品の写真などを見せることはできません。しかし、ベストケンコーは、法律で禁止されている未承認医薬品の広告を堂々と行い、「日本で処方箋医薬品の個人輸入は認められていて合法だ」と主張します。

ベストケンコーは、違法に未承認医薬品の広告・販売を行っています。 また、ウェブサイト上には、下記のように「アメリカFDAが認めた」などという広告を行っていますが、販売されている薬は、アメリカのFDAが承認したものではありません。

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ベストケンコーのウェブサイト上では、日本政府によって、安全性や信用性が確認されていない処方箋医薬品が多数販売されています。人間用だけでなく、動物用処方箋医薬品も広告・販売されています。

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商品のページを見ると、下記の通り、「取り扱い商品全て処方箋不要で全国どこへでもお届け」というメッセージが表示されます。

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私たちレジットスクリプトは、2012年よりベストケンコーを日本国民の健康への脅威とみなし、この組織を監視し続けています。レジットスクリプトは三年前から厚生労働省から監視業務の委託を受け、ベストケンコーについても特に監視体制を強化しています。私たちは、このネットワークがどのように運営されているのかを調査し、2012年には主要なウェブサイトを閉鎖に追い込みました。その後、この組織は「ベストくすり」から「ベストケンコー」にブランド名を変更しました。このブログシリーズでは、調査によって明らかになった「ベストケンコー」という組織、そして、この組織を支える会社についてお話ししていきます。

次回のブログ「組織を操る男たち」では、ベストケンコーの歴史、そして裏にいる人物について見ていきます。


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