ベストケンコー 第三章 — 共犯者

このブログでは、日本の消費者がベストケンコーのウェブサイトから医薬品を購入するというのはどういう事なのか、ということについてお話ししていきます。医薬品はどこから来るのでしょうか。実際にどのような商品が届くのでしょうか。本当に販売している薬はアメリカの食品医薬品局(FDA)によって承認されたものなのでしょうか。ドメイン名登録、ビジネスの記録、そしてパナマ文書を見ていきましょう。

ベストケンコーのウェブサイトで販売されている医薬品は、SAVA GlobalとVaijanti Pharmacyというインドにある2つの企業によって配給されています。SAVA Global は、医薬品製造業者と名乗っていますが、私たちの調べでは、実際は、他の低価格医薬品製造業者と契約を結んでおり、SAVA Global 自体が医薬品を製造している訳ではないことがわかっています。

ということは、ベストケンコーのウェブサイトで販売されている医薬品は、SAVA Globalが外注する製造業者、つまり、正体不明のインドの製造元によって製造されたものである、ということになります。医薬品はそこから、SAVA Global が国際医薬品部門の拠点を置く、アラブ首長国連邦のシャールジャ国際空港フリーゾーン (SAIF Zone) に運ばれます。その後、ベストケンコーの注文分として振り分けられた薬は、シンガポールにある倉庫(前回のブログで述べた Rajahblue ホールディングス 傘下 の Scanpro Pacific Pte. Ltd)へ送られ、そこから日本の消費者へと配送されるのです。

ベストケンコーは、 「ご利用ガイド」のページ で、シンガポール配送センター(Scanpro)は、シンガポール政府より認定を受けており、2000種以上の医薬品を扱い、12名の薬剤師が常駐し商品の確認、検品、配送準備をしている、と記載しています。しかし、ベストケンコーのウェブサイトで売っている、 カマグラジェビトラ のような商品は、日本及びシンガポール(そして、世界中ほとんどの地域で)承認されていないので、それは、見え透いた嘘だとわかります。(もし、ベストケンコーの言い分を裏書きするような証拠があれば、私たちは喜んで調査します。)

レジットスクリプトは以前から、SAVA Global はベストケンコーに医薬品を単に卸している関係ではなく、それ以上のつながりがあると考えていました。

以下が、その理由です。

  • ベストケンコーのメインのウェブサイトである、bestkenko.comkusuriexpress.competkusuri.com などは、SAVA Globalの子会社である「Anagha Pharma」の名前でドメイン名登録が行われていました。allaboutkusuri.com のウェブサイトのWhois記録を見ると、Anagha Pharma Pvt. Ltd. がドメイン名登録者、Mark Radford(前回のブログで述べた Rajahblue の重役)が運営管理者(Administrative contact) として登録されていました。
  • ベストケンコーの運営する複数のウェブサイトのドメイン名登録は、アラブ首長国連邦のシャールジャ国際空港フリーゾーン(SAIF) の住所や、「SAVA Global transshipment center, SAVA Intertrade FZE.」の名前が使用されていました。

SAVA Globalは、SAVA Medica (Singapore) Pte. Ltd.を含むいくつもの子会社を抱える複合企業(コングロマリット)です。SAVA Medica (Singapore) Pte. Ltd. の住所は「91 Alps Avenue #03-01, Lian Soon Amenity Center, Singapore」となっており、これは、Alps Pharmacy(alps-pharmacy.sg)と同一の住所であり、この Alps Pharmacy は、FDAが承認していない避妊薬などをアメリカの医師に不正販売する組織である Solaris/Candrug などに薬を卸しています。Solaris/Candrug 組織のウェブサイトは、オーダーフォーム上に「Alps Pharmacy」と表示しています。また、Alps Pharmacy  は、Anam Pharmacyとして知られる Anam Trading Pte. Ltd と同一であることが判明しています。Anam Pharmacy もまた、SAVA Globalの子会社です。これは Alps Pharmacy と SAVA Global は実際には同一組織であることを示唆しています。

バイエルがカナダの通販薬局や Ronin Ventures などを偽造医薬品や商標侵害を訴えアメリカで特許侵害訴訟を起こした訴訟の中で、Anam Pharmacy は医薬品の配給元として名前が上がっています。この訴訟の被告である Ronin Ventures という名前は、Joel Devidal がベストケンコーの前身である「ベストくすり」のドメイン名登録に使用した名前と一致します。

パナマ文書には、SAVA Global の代表取締役である Vinod Ramchandra Jadhav の興味深い事実が記されています。文書では、彼はイギリス領ヴァージン諸島にある、Eazycallホールディングスの重役である、となっています。多くのオフショア企業と同様、この会社は、その他多くの企業の株主となっています。そして、その中のScanpro Pacific Pte. Ltd. と Culloden Capital Pte. Ltd. という少なくとも二つの会社が、Rajahblueの管理下にあります。前回のブログで指摘しましたが、Scanpro Pacificは Rajahblueの投資先企業です。Culloden Capital Pte. Ltd は、シンガポールでの登記がある企業であり、Robin Scrimgeour は自分の LinkedIn のページ で、この会社のディレクターと称しています。ここでは詳しく述べるのは控えますが、これらの背景から、ベストケンコーと Sava Global の両方の運営を行う一連の企業だと考えられます。

最近のベストケンコーと SAVA Global の関係は、冷え込んでいる可能性もあります。Savaの代表者であるDeepak Shindeは、イギリス領ヴァージン諸島の法廷で Scanpro Pacific Pte. Ltd の Mark Radford などを訴えています。もしかしたら、これが理由で、2015年からは Vaijanti Pharma がベストケンコーの新たな供給元となったのかもしれません。

Vaijanti Pharmacyのインドでの薬局許可と管理薬剤師の書類には、Amruta Kapil Desphande, nee Amruta Krishna Kenge と記されています。Vaijanti Pharmacyはインドで認可されている薬局であるものの、インドで法人登録されている会社ではないようです。私たちの調査によると、Vaijanti Pharmacyは、個々の患者に薬を出すような普通の薬局とは違い、インドの仕入れ業者のような形で、医薬品製造業者が薬の配給のために利用する特別な倉庫、輸出通関、運送会社として機能していることがわかっています。Vaijanti PharmacyはSAVA Globalと繋がっている可能性があります。その理由は、Vaijanti Pharmacyの電話番号である+91 985-014-6471、または、985-014-6471は、Vista Pharmacy の名前と共に、ベストケンコーのドメイン名登録で使われているからです。Vista Pharmaは、一時的には SAVA Global と関係があった事が分かっていますが、Vaijanti PharmacyとSAVA Globalの詳しい関係性は、まだ明らかではありません。

これら全てを考慮に入れると、ベストケンコーの主張とは反し、薬は薬局許可を持った薬局から送られている訳ではないと考えられます。販売されている薬は、アメリカの米国食品医薬品局(FDA)から承認を受けたものでもありません。日本人がベストケンコーのウェブサイトから薬を注文した場合、薬の安全管理について全く明らかではない場所から来た薬が届けられるのです。

安全な薬が届くかは不明である一方、一つだけ明らかな事は、ベストケンコーはインドの医薬品配給業者から薬が卸されているだけでなく、ドメイン名登録から分かる多くの情報により、インドの医薬品配給業者が運営自体に関与しているということです。

次回のブログでは「痛いところをつけ!」として、ベストケンコーの不正行為をどうやって止めるかについて考えましょう。