ベストケンコー 第二章  – 組織を操る男たち – Boys & Their Toys

シンガポールのThe Cufflink Clubというバーは、外国人に人気のスポットです。有名な口コミサイトの「Yelp」には、28シンガポールドル(日本円で2,000円程)の凍った氷の中におもちゃの兵隊が入った「Boys & Their Toys」というカクテルの写真が載っています。The Cufflink Club はシンガポールの投資グループ、Rajahblue ホールディングスの投資先の一つです。そして、Rajahblue のウェブサイトには、British Association of Mixed Martial Arts(BAMMA)や Scanpro Pacific Pte. Ltd. という企業などを含む、様々のビジネス分野への投資を行っているとあります。

Scanpro Pacific Pte. Ltd はベストケンコーのウェブサイトに、配送センターとして記載されています。しかし、Scanpro Pacific Pte. Ltd と Rajahblue ホールディングスは、単なるベストケンコーの配送センターや供給元だけではありません。これまでの会社登記記録、そしてドメイン名登録情報などについての捜査により、ベストケンコーの主な運営者は、このRajahblueの役員や仲間達であることが判明しています。

ベストケンコーは2009年から存在しています。当時は「ベストくすり」として知られていました。レジットスクリプトは2012年に複数のベストくすり関連のウェブサイトを閉鎖し、シンガポールとの関係を公開したのち、この組織は「ベストケンコー」と名称を変更しました。動物用医薬品を販売しているウェブサイトは、現在も「ペットクスリ」としてまだ存在しています。その後、人間用の医薬品を販売する「くすりエクスプレス」、二つ目の動物用医薬品を販売するウェブサイト、「元気ペット」を開設しています。

違法にオンラインで処方箋医薬品を販売するベスコケンコーのウェブサイトに深く関わる三人の男性がいますが、彼らは全て Rajahblue に繋がっています。

Mark Radford(マーク・ラドフォード):

ベストケンコーが運営する kusuriexpress.com のような主要ウェブサイトは、Mark Radford という個人名と Bushido Enterprises という会社名で登録されてきました。これについては、2012年に発表したブログ で詳しく述べています。Bushido Enterprises というビジネス名は、ベストケンコーのウェブサイト上にも記載されており、いくつものベストケンコーのドメイン名登録に使用されています。彼の LinkedInページ によると、Radfordは Rajahblue のディレクターとなっています。

Joel Devidal (ジョエル・デヴィダル):

ベストケンコーのドメイン名登録に現れるもう一人の人物は Joel Devidal です。Devidal は Rajahblue との直接的な関係は確認していませせんが、彼は Radford のビジネスパートナーとして、DialUsNowSakusen Investments, LLC というベンチャー企業を立ち上げています。

Robin Scrimgeour (ロビン・スクリンジャー):

ベストケンコーの中心ウェブサイトやドメイン名登録に表示されるビジネス名を辿ると、 Robin Scrimgeour という人物に辿り着きます。彼は、「ペットくすり」のトレードマークとなっている、 Ichikado Ltd と Ichikado Hong Kong のオーナーです。彼が登録した Sakura United, Ltd. という会社は、かつて、 bestkenko.com  のウェブサイト上に運営会社として表示されていました。そして、Robin Scrimgeour もMark Radfordと同様に、自分のLinkedInのページ で Rajahblue のディレクターと公表しています。

Radford、Devidal、Scrimgeour は記録上、シンガポールに駐在しているオーストラリア人となっています。投資企業という名目の裏に隠れるこの三人の人物は、不正オンライン薬局運営の投資者であり、その一方で「シンガポールでNo.1のカクテルバー」のような事業の投資者としてのステイタスを楽しんでいます。まるで、カクテルの名前である「Boys & Their Toys」が彼ら自身を表すように。

2012年に発表したベストケンコー/ベストくすりについてのブログでは、私たちがシンガポールとの関係を指摘した後、ドメイン登録名に Deepak Shinde という人物と Anagha Pharma Pvt. Ltd という企業が使われたことについて述べました。Anagha Pharma Pvt. Ltd. はインドを本拠地とする薬の卸売業者であり、ベストケンコーや、世界中の不正オンライン薬局に薬を何年間も卸し続けている SavaPharm Group の傘下にあります。通常、医薬品卸の会社が不正販売ウェブサイトを牛耳ることはありませんが、SAVA Global にとって、ベストケンコーはただの「医薬品の供給先の顧客」ではなく、実際の運営パートナーであることが私たちの調査で分かっています。

次回のブログでは、「共犯者」として、ベストケンコーの供給元である SAVA Global について解明します。ベストケンコーと SAVA Global が医薬品の配給について手を結んでいるという事実が、パナマ文書から新たに明らかになりました。


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