世界の化粧品市場には、「肌をより明るく見せる」や「肌のトーンを整える」など、美白効果を謳った製品が数多く出回っています。中には、実際に効果が期待できる製品もありますが、その一方で、こうした製品には、消費者や加盟店にとって見えにくいリスクが潜んでいる場合があります。
本記事では、美白化粧品にまつわるリスクやトレンドについて詳しく解説するとともに、関連するリスクの軽減を目指しレジットスクリプトが行っている取り組みについてご紹介します。また、美白製品に限らず、その他にも注意が必要なハイリスク製品についての情報を網羅した『ハイリスク製品ハンドブック』も、ぜひダウンロードしてご活用ください。
美白市場は数十億ドル規模の巨大産業
美白ブームは、決して近年に始まったものではありません。例えば、ビクトリア朝時代には色白の肌が富や階級の象徴とされていました。現代でも、アジア、アフリカ、中南米の一部の地域では、明るい肌色が理想とされる価値観が根付いています。実際、Strategyr.com の調査によると、美白化粧品市場は今後も拡大を続け、2030年までに世界市場が130億ドルを超えると予測されています。近年では、メディアにおける多様性の重視や美の基準に対する価値観の変化が見られる一方で、美白化粧品への需要は以前として高いことが伺えます。
世界に広がる美白化粧品の需要
美白化粧品に対する需要は、地域ごとに異なる文化的背景や価値観が関係していますが、Googleの検索トレンドを見ると、世界の広範囲でこうした製品への関心が広く存在することが分かります。特に、検索数の多くは、アジア、アフリカ、中南米などの地域に集中している傾向があります。さらに、レジットスクリプトのモニタリングでは、米国、英国、カナダを拠点とするオンラインマーケットプレイスにおいて、こうした地域にルーツを持つ人々のコミュニティーをターゲットとした販売例を頻繁に確認しています。これらの製品は、「自然由来」や「ハーブ配合」など、安心感を与える言葉で宣伝されていることが多い一方で、実際には重金属や成分表に記載のない医薬品成分が混入しているケースも珍しくありません。アメリカでは、こうした有害成分を含む製品が、米国食品医薬品局(FDA)の長年にわたる取り締まりの対象となっています。
美白化粧品には何が含まれているのか?
一部の悪質に製造・販売されている美白化粧品に含まれる成分として、特に問題視されているのが、水銀、ハイドロキノン、トレチノイン、クロベタゾールプロピオン酸エステルなど有害、または処方薬に該当するような成分です。FDAは、これらの成分にさらされることで深刻かつ永久的な健康被害を引き起こすリスクがあると警告しています。たとえば、水銀は、脳や腎臓に深刻なダメージを与えるおそれがあり、ハイドロキノンを長期間使用した場合には、色素沈着や顔の腫れ、皮膚炎などの副作用が報告されています。さらに、クロベタゾールのような、本来医師による処方が必要とされる医薬品を不適切に使用した場合、重篤な副作用を招く可能性があります。
こうした成分は、多くの国や地域で厳しく規制されていたり、使用禁止とされています。そのため、悪質な業者はパッケージや広告にあえて記載しない場合、あるいは、意図的に隠すという事例も珍しくないのです。結果として、消費者が安全かつ自然由来であると信じて使用している製品を通して、知らず知らずのうちに自身や家族を健康リスクにさらしてしまう可能性があります。
一見無害な輸入化粧品や健康商品と同様に販売されていたこの製品からは、危険なレベルの水銀が検出されました。
加盟店と決済サービス提供会社が知っておくべきこと
汚染された化粧品に対して、規制当局や公衆衛生機関による厳しい取り締まりが行われていますが、それだけでは不十分なことも多く、注意喚起やリコールの対象となる前に、一般市場に出回ってしまうのが現状です。そこで不可欠になるのが、こうしたリスクを早期に特定するための決済業界向けモニタリングツールの活用です。
レジットスクリプトは、決済サービス提供会社・ECプラットフォーム向けに、ハイリスク製品や問題のある加盟店の早期発見を支援するマーチャントモニタリングや、ヘルスケア製品データベースをはじめとするサービスの提供を行なっています。当社の法規制専門チームは、国際的な規制動向を継続的に監視し、禁止成分や未申告の成分を特定、そうしたリスク情報をリアルタイムで提供することで、事業者のコンプライアンス強化と消費者保護に貢献しています。
本記事で取り上げた美白化粧品の事例は、トレンドの変化やヘルスケア製品を取り巻く複雑な規制が、消費者や事業者に思わぬリスクをもたらすことの一例にすぎません。そのほかにもリスクの高いとされるヘルスケア・ウェルネス製品に関する詳細については、レジットスクリプトの『ハイリスク製品ハンドブック』をご覧ください。危険な製品の見極め方や、ポートフォリオ全体でのリスク管理に役立つ実践的な情報が満載です。