処方薬の代替品を求める消費者に後押しされ、自然療法のオンライン市場は成長を続けています。消費者は、処方薬と同じような効能を持つ製品を求める中で、地域によって規制が異なる成分を含んだ製品や、誤解を招く可能性のあるマーケティングに遭遇するかもしれません。
カバはその代替品のひとつであり、伝統的な万能薬として世界中で注目を集めています。しかし、カバに関する規制と安全性は複雑です。ここではカバについて詳しく解説していきます。
カバのルーツ
カバ(学名: Piper methysticum)はカヴァカヴァとも呼ばれ、コショウ科の植物とその根から抽出される製品の両方を指します。南太平洋の島々に息づく文化圏では、カバは長い間伝統的に使われてきました。なおこれらの地域では、ヤコナ(yaqona)、サカウ(sakau)、またはマログ(malogu)としてより一般的に知られています。広く知られた鎮静作用があることから、この植物の根はしばしば、社会的儀式や対立解消の場で飲み物として提供されます。その他の地域では、不安、ストレス、不眠症の自然療法として人気を博しています。しかし、その安全性に対する懸念がしばしば議論に上り、一部の地域では販売や使用が規制されている場合もあります。
オンラインでは、カバは通常、カプセル、エキス、またはお茶にするための粉末状で販売されています。
カバの健康と安全面に関する懸念
正確な原因はいまだ不明なものの、カバは数多くの健康被害への影響があるとされています。なかでも、スイスとドイツでは、肝炎から肝不全に至るまで、カバ製品の摂取による肝障害の症例が報告されています。その結果、患者1人は死亡し、他の4人の患者は肝臓移植を余儀なくされたことがわかっています。さらに、カバを長期に渡って摂取すると、発疹や乾燥した鱗状の皮膚を発症する「カバ皮膚症」と呼ばれる皮膚疾患の一因となることが知られています。また、認知テストのパフォーマンス低下にも繋がるとも考えられています。ただ、これらの研究例が限られており、また結論が出ないことも少なくないため、多くの関連保健当局はカバに対し、あらかた慎重な姿勢を示しています。
カバはどこで規制されているか?
カバの法的な位置付けは世界各地で異なります。2002年、ヨーロッパの数カ国とカナダは、カバ製品の輸入および販売を禁止しました。アメリカでは米国食品医薬局 (FDA) が、その使用に伴う潜在的なリスクを強調した消費者向け勧告を発表しました。その後の数年間でこれらの規制の一部は撤廃されましたが、依然として、世界各国でさまざまな規制の対象となっています。例えば、インドネシア、日本、韓国、オランダは、サプリメントにカバを配合することを禁止しており、フランスでは、特定の承認を受けたホメオパシー医薬品を除き、いかなる形であれカバの使用を全面的に禁止しています。
消費者及び決済サービス提供会社が知っておくべきこと
消費者の皆さまへ:「自然由来」が必ずしも安全であるとは限らないことに注意しましょう。カバの使用を検討している場合は、まず医療専門家に相談し、明確なラベル表示や調達先情報がない製品は避けるようにしましょう。
決済サービス提供会社の皆さまへ: カバのように世界的に規制が流動的な製品については、加盟店ポートフォリオを監視し、また加盟店がどこで製品を販売しているかを把握することが重要です。カバ製品のような高いリスクを伴う要素を取り除かない場合、規制違反による罰金や企業のイメージダウンのほか、カードブランドによる厳しい評価にもつながる可能性があります。
レジットスクリプトでサプリメントのトレンドの先取りを
カバは、めまぐるしく変化する規制と消費者の動向がビジネスにどのようなリスクをもたらすかを示す一例にすぎません。カバの取引に影響を及ぼす規制は今後も進化し続けるとみられ、需要が鈍化する兆しも見られません。
レジットスクリプトは、国別規制に基づいて整理された、問題のあるサプリメントや危険ドラッグ、医薬品、その他のヘルスケア製品に関する世界最大のデータベースを保有しています。当社の規制の専門家とアナリストチームは、決済サービス提供会社がリスクの高い加盟店を特定し、規制措置の対象となるリスクを軽減するとともに、ブランドや顧客に対する影響を最小限に抑える支援を行っています。当社のデータベース及びモニタリングサービスがどのようにお役に立てるかについて、詳しくはお問い合わせください。