昨今、eコマースにおいて2つの医薬品成分が不適切な形で注目を集めています。イベルメクチンとフェンベンダゾールです。これらの駆虫薬(抗寄生虫薬)成分は、ヒトや動物の医療において正当な用途を持っている一方で、本来の目的から外れた適用外使用(オフラベル使用)や、未承認の製品が急増しており、消費者への健康を脅かすだけでなく、カードブランドにとってもリスク管理上の大きな懸念事項となっています。本記事では、これらの成分にスポットを当て、レジットスクリプトが加盟店ポートフォリオで確認している、極めて悪質なホワイトラベル製品や「研究用限定(RUO)」製品の実態について深く掘り下げます。
抗寄生虫薬:承認された用途から代替療法へ
本来、フェンベンダゾールやイベルメクチンなどの抗寄生虫薬には、法的に認められた特定の医療用途が存在します。経口イベルメクチンは、抗寄生虫治療としてFDA(米国食品医薬品局)から承認されているほか、酒さ(赤ら顔)などの皮膚疾患治療用の外用薬としても承認されています。その一方で、フェンベンダゾールはヒトへの使用は一切承認されておらず、通常は動物用の駆虫製品の成分としてのみ使用されています。
2020年初頭、臨床試験においてイベルメクチンが試験管内 (in vitro)で新型コロナウイルス(COVID-19) の複製を抑制したという結果が示されて以来、この成分は本来の用途を超えて注目を集めるようになりました。その後、ヒトへの有効性を示唆する二次研究も発表されましたが、これらの初期研究はデータの不正や倫理的懸念から厳格な精査を受け、後に科学誌から撤回されました。しかし、一度火がついたブームを止めることはできず、ソーシャルメディアのインフルエンサーたちが「奇跡の治療薬」として宣伝したことで、イベルメクチンの処方件数は急増しました。現在は、がんを含むさまざまな疾患に対する「万能薬」という誤った認識のもと、再び需要が増大しています。
同様に、フェンベンダゾールも誤情報によって熱狂的な支持を受けています。ある米国人がん患者による「フェンベンダゾールで完治した」という根拠のない主張をきっかけに、一部のメディアや著名人の後押しを受け、イベルメクチンと並ぶ「代替療法」として広く浸透してしまったのです。
巧妙化する悪質業者
これらの医薬品成分には正当な医薬品としての形態が存在する一方で、悪質な業者は、規制を回避しつつ適応外使用を助長するために、製品を巧妙にパッケージ化して販売する手法を編み出しています。実際、レジットスクリプトは、イベルメクチンやフェンベンダゾールがホワイトラベルのサプリメントや未承認薬、あるいは「研究用化学物質」と称したバルク原料として販売されている事例を確認しています。
図1および図2は、レジットスクリプトがeコマース全般で確認している、典型的なホワイトラベル製品の事例です。

図 1
上の加盟店は、フェンベンダゾールをヒト用のサプリメントとして販売しており、レビュー欄でもそのプロバイオティクス効果(整腸作用など)が強調されています。しかし、フェンベンダゾールはFDAによってヒトへの使用が承認されていません。それどころか、自己判断による摂取で重篤な肝損傷や死亡事例も報告されている極めて危険な物質です。

図 2
図2は、経口イベルメクチンを含有する典型的なホワイトラベル医薬品の例です。米国をはじめとする多くの法域において、イベルメクチンは処方箋を必要とする有効成分です。この製品は未承認であるだけでなく、加盟店側で適切な処方箋確認プロセスが全く行われていない点も大きな問題となっています。

図 3
さらに、レジットスクリプトは、これらの成分を「研究用化学物質(Research Chemicals)」を装って販売する加盟店も確認しています。これは、ペプチド製品など、近年のヘルスケアeコマース分野で見られる共通の傾向です。例えば図3の加盟店では、フェンベンダゾールの粉末をバルク販売していますが、購入者が研究目的の専門家であることを確認するための安全策は一切講じられていません。
具体的なリスクとなる点は?
たとえ承認済みの医薬品であっても副作用の可能性は常に存在するため、FDAは承認薬の適応外使用には細心の注意を払うよう推奨しています。このリスクは、ヒトへの摂取が承認されていないホワイトラベル製品や研究用化学物質の場合、大幅に増大します。これらの製品は未承認であるため、安全性、有効性、および品質の安定性に欠けるという深刻な固有リスクを抱えています。2026年初頭現在、FDAは未承認医薬品の誤解を招く広告への監視を一段と強めています。実際、虚偽的なマーケティングを行ったテレヘルス(オンライン診療)企業に対して、すでに数十通もの警告書を発行しています。
消費者の健康被害という懸念に加え、これらの製品を取り扱うことは、規制上のリスクやレピュテーション(評判)リスクを即座に招くことになります。適切な法的監督を受けることなく販売される未承認の「ホワイトラベル」薬は、決済取引において非常にリスクの高い商材です。カードブランドはこれらの製品に対して厳格な取り締まりを行っており、こうした加盟店を抱えるアクワイアラに対し、多額の制裁金を科しています。
業界インテリジェンスでポートフォリオを保護する
レジットスクリプトの加盟店モニタリング・ソリューションは、こうした未承認製品をいち早く特定し、カードブランドから多額の制裁金が科せられる前に報告・対処できるように設計されています。当社のアナリストは、医薬品のリスク評価において高度な専門トレーニングを受けており、どの加盟店が規約を遵守し、どの加盟店がリスクを抱えているかを精緻に判別します。 これにより、不適切な事業者への迅速な対処を可能にし、決済エコシステムの健全性を維持します。
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